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朝鮮大学校美術科有志展「70年、」

2016年1月25日(月)~1月31日(日)
朝鮮大学校美術棟1F展示室 
出展者:李晶玉,鄭梨愛,朴東竜,金将成,崔賢美,金愛梨,許聖芽,崔景華,姜蓮花,徐汀彗,鄭大河,高英舜,金美慶,高由京,金志遠,劉京姫,高宝藍(17名)

第二次大戦の終戦70年という節目であった昨年、多くの媒体や場面で先の大戦や戦後の歩みに目が向けられました。同時に夏には安保可決や抗議デモがあり、そこには朝鮮大美術科からも数名が参加しました。過去の歴史と現代での情勢、二つの場面においての「戦争」が、あらゆる場面で意識されたと思います。「戦争」というワードで言えば、飛躍するようですが最近のフランスでのテロや中東で起っている紛争も想起されるかと思います。

私たちはこの節目をきっかけに「70年」前を想像し、体験したことも無い「戦争」をイメージします。しかしそこにどんなリアリティがあると言えるでしょうか。究極に言えば絶対のリアリティというものは存在しないと言えます。実体験を越えての他者への想像には必ず限界があります。その上でなお私たちは、絶えず想像する事を求められます。その時、実体験の伴わない出来事をイメージする行為を、自身の中でどのように位置づけますか?過去や現在の「戦争」に向かい合いネットやテレビの液晶越しに、もしくは教科書や新聞の紙面上から、文字や画像の羅列から、人道的なショックか、ナショナリズムを揺さぶられてか、あるいは単純な暴力性にか、心を揺さぶられる体験を得たとして、そのイメージから虚構性を排除する事はできません。しかしそこに、リアリティが無いというリアルが存在している事は確かです。現代日本に生きる新世代として、在日朝鮮人3世4世としての、近くて遠い70年前へのリアリティのないリアリティがそれぞれの内に存在していると思います。

安倍首相の「70年談話」で語られた戦後70年とは、少し違う70年の歴史が私たちの背後にあります。終戦、敗戦「70年」と語られる今年を、私たちはまた「光復」や「解放」とも呼びます。実体験の伴わない重い歴史や出来事に現実感を持てない世代のリアリティを見つめ直す事、現代現在での自身の立ち位置を見つめること、これらが今回の展示の趣旨となってくると思います。大きく社会的なテーマがモチーフとなる展示ではありますがそれらに各々の「リアリティ」を持って取り組む事、想像の追いつかないものに向き合う自身の「リアリティ」を探る展示にしたいと思っています

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